「ずっとピアノをやってみたかった」「英語をやり直したい」「陶芸、面白そう」。大人の習い事をやってみたいと思ってから、何か月経ったでしょうか。
この記事では根性論の話をしません。代わりに、2025年から2026年に公表された調査データを4本使って、なぜ大人の習い事は始まらず、始まっても続かないのかを整理します。原因は、思っていた場所とは少し違うところにあります。
この記事の要点
- 自主的に学んでいる大人は35.0%。学ぶ理由の1位は「自分自身の成長」(2025年)
- 学習者の74.0%が独学。続かない悩みは「時間の確保」と「モチベーション」=意志ではなく設計の問題
- 2026年に人気なのは「備える学び」と「整える学び」。どちらを選んでもいい
- 子どもに効くのは説明よりも、大人が学んでいる姿
大人の習い事をしている人は35%。3人に2人は学んでいない
株式会社ウィザスが2025年3月に実施した調査(東京・愛知・大阪・福岡在住の20〜69歳の会社員・職員1,014名)では、自主的な学びに取り組んでいる人は35.0%でした。裏を返せば、3人に2人は何も学んでいないということになります。
ただ、同じ調査のもう一つの数字のほうが大事だと思っています。学ぶ目的の上位は「自分自身の成長」64.5%と「興味・関心のあること」51.8%。大人が学びたい理由は、昇進や評価のためというより自分のためなのです。
「学び直し」「リスキリング」という言葉には「やらなければいけないもの」の響きがあります。でも実際に人を動かしているのは、義務ではなく「面白そう」でした。ここがズレていると、始める前から気が重くなります。
続かないのは意志が弱いからではない|独学74%という現実
次は「続かない」ほうの話です。学びのメディア『日本の資格・検定』(CBTソリューションズ)が2025年9月〜10月に行った1,701名への調査に、はっきりした数字が出ています。
| 項目 | 割合 |
|---|---|
| 学習方法として「独学」を選んでいる | 74.0% |
| 継続の悩み 1位「時間の確保」 | 40.3% |
| 継続の悩み 2位「モチベーションが続かない」 | 39.7% |
4人に3人が独学です。いちばん効率のよさそうな方法を選んだ結果、時間の確保とモチベーションの維持が悩みの1位・2位に並ぶ。同調査は、自由度の高い独学スタイルが、皮肉にも自己管理の難しさを増幅させていると指摘しています。
これは意志の問題ではなく、設計の問題です。「毎週水曜19時、あの場所に行く」という予定が外側にあるだけで、モチベーションを自分で作り出す必要がなくなります。教室に通う価値は、教えてもらえること以上に、続く仕組みが最初から用意されていることにあります。
2026年に人気の大人の習い事ランキング|「備える学び」と「整える学び」
では何を学べばいいのか。学びのプラットフォーム「ストアカ」が2025年11月末〜12月に実施した調査(20〜70代の男女564名)による「2026年に挑戦したい大人の習い事」は、こうなっています。
| 順位 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 1位 | 英語 | AI |
| 2位 | AI | 英語 |
| 3位 | 占い | 起業・独立 |
| 4位 | 発酵・麹 | 動画撮影・編集 |
| 5位 | ヨガ・ピラティス | 電子工作・DIY |
同社はこの傾向を、キャリアや副業に「備える学び」と、健康や心身のバランスを「整える学び」の二つの軸で説明しています。AIと英語が男女とも上位に並ぶ一方で、発酵・麹や編み物、ストレッチも10位以内に入っている。どちらが正しいというものではありません。
ランキングは人気を知るには便利ですが、選ぶ基準にする必要はありません。あなたが陶芸をやりたいなら、ランキングに陶芸がないことは何の情報にもならない。自分で選んだという事実そのものが、続く理由になります。
子どもに「勉強しなさい」と言う前に|親子調査が示していること
ここで、少し違う角度のデータを置かせてください。
東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が約2万組の親子を11年間追いかけた「子どもの生活と学びに関する親子調査2025」(2026年6月公表)によると、子どもの学校外の学習時間はこの11年で約2割減少。さらに小中学生で「勉強が好き」と答える子が減り、「なんのために勉強しているのか分からない」と答える子が全学年で増えています。
私はもともと、子ども向けの習いごと・教育の情報サイトを作っていました。だから子ども側の数字を見る機会が多いのですが、この結果を見るといつも同じことを考えます。「なんのために勉強するのか分からない」子どもに、それを言葉で説明して納得させることは、たぶんできない。
説明の代わりになるものがあるとすれば、それは大人が実際に何かを学んでいる姿だと思っています。うまくいかない日も含めて、面白がって続けている姿です。上手である必要はありません。むしろ、下手なところから少しずつできるようになる過程のほうが、子どもには見えるものが多いはずです。
(ただし、これは「子どものために学べ」という話ではありません。順番は、自分が先です。)
なぜ大人向けの習い事サイト aetta を作ったのか
aetta は、大人向けの習いごと・講座・イベントを地域から探せるサイトです。私が一人で立ち上げました。
先に白状しておくと、私自身には、大人になってから何かを習い始めた経験がありません。だからこの記事は「やってみてよかった」という体験談ではありません。それでもこのサイトを作ったのには、二つ理由があります。
一つは、掲載したいという声が実際に届いたことです。先に公開した子ども向けのサイトに、「大人向けの講座もやっているので載せたい」という要望が複数寄せられました。教える側には、大人に向けた場がすでにあった。足りていなかったのは、それを探せる場所のほうでした。
もう一つは、単純に、「もう大人だから」で諦めてほしくないという気持ちです。人生100年時代と言われ、働き方も家族の形も多様になり、性別や年齢で「もう遅い」と言われる理由はどんどん減っています。それなら、大人になってから新しいことを始めることも、細く長く続けることも、もっと当たり前に肯定されていいはずです。誰かの人生が少し充実するきっかけになれば、それでこのサイトの役目は果たせていると思っています。
その根っこにあるのは、事業の理念として書き留めている一文です。
人は誰かの理想になるために生きるのではない。自分自身の人生を、自分の意思で選び、歩むために生きている。私の役割は、そのための選択肢と機会をつくり、必要なときにそっと背中を押すこと。
私にできるのは、教えることでも、先に経験した人として語ることでもなく、選択肢を見える場所に並べることです。地域にどんな教室があるかという情報は、いまだに長く住んでいる人の口伝えに依存していて、引っ越してきた人や生活時間帯の違う人には届きません。学びたい気持ちがあるのに、近くに何があるか分からないまま終わるのは、単純にもったいない。
最初の一歩は「決める」ことではなく「近くを見る」こと
ここまでの数字を、もう一度まとめます。
- 学んでいる大人は35.0%。理由の1位は「自分自身の成長」
- 74.0%が独学。悩みは「時間」と「モチベーション」=意志ではなく設計の問題
- 人気は「備える学び」と「整える学び」。どちらでもいい
- 子どもに効くのは説明より、大人が学んでいる姿
始めるかどうかを今日決めなくても大丈夫です。おすすめしたいのは、通える範囲にどんな教室や講座があるのかを、一度だけ見てみること。5分で終わります。そして多くの場合、「思っていたより近い」か「思っていたより安い」のどちらかを知ることになります。
aetta は、そのために作りました。近くの学びが、ここにある。
大人の習い事によくある質問
大人になってから始めても遅くないですか?
2026年の習い事ランキング調査の回答者は20〜70代です。英語やAIのようにキャリアに備える学びから、ヨガ・発酵・編み物のように暮らしを整える学びまで、年代を問わず選ばれています。年齢が理由で選べないジャンルは、実際にはほとんどありません。
続けるコツはありますか?
調査では学習者の74.0%が独学で、悩みの1位が「時間の確保」(40.3%)、2位が「モチベーションが続かない」(39.7%)でした。やる気を自分で作り続けるのではなく、「毎週この曜日、この場所」という予定を先に外側に置くほうが続きます。教室やワークショップに通う価値はここにあります。
何を選べばいいか決められません。
人気ランキングは参考程度で十分です。大人が学ぶ目的の1位は「自分自身の成長」(64.5%)、2位は「興味・関心のあること」(51.8%)でした。人気があるかどうかより、自分が面白いと思えるかどうかが継続に直結します。迷ったら、体験レッスンがある教室・講座から選んでみてください。
参考にした調査
- 株式会社ウィザス「『学び』への個人の意欲・企業の動向」(2025年3月7日/東京・愛知・大阪・福岡の20〜69歳の会社員・職員1,014名)
- 『日本の資格・検定』(CBTソリューションズ)学習実態調査(2025年9月1日〜10月15日/10〜60代の男女1,701名)
- ストリートアカデミー「2026年に挑戦したい大人の習い事ランキング」(2025年11月27日〜12月6日/20〜70代の男女564名)
- 東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2025」(2026年6月30日公表/親子約2万組・11年間の縦断調査)
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